大人が覗く10代の人間模様「何曜日に生まれたの」1~3話

コクトー「恐るべき子供たち」を周囲の大人目線で書き直すと

投稿日:2023年8月23日

他の7月クールドラマから遅れて8月から始まった、野島伸司の書下ろし。
これまでほぼ一斉にドラマが始まる流れが、少しずつ変わってきているのかも知れない。 観る方としては知らないうちにうっかり新しいドラマが始まっていたりして、気が抜けないのよね~

普通のストーリーテリングで話を進めていればこんなに引き込まれるドラマにならなかっただろう、謎を追うドラマのエンジンは確実に『どのタイミングでどの事実をどう明かすか』という技法。 毎回新しい謎が出てきて、好奇心が煽られて次話が待ち遠しくなる。 
直近の謎もので面白かったもので「御手洗家、炎上する」(脚本金子ありさ、こちらも巨匠、Netflix)があったが、決定的な違いが一つ。 一部、あるいは多くの視聴者が感情移入するのは物語のヒロインではなく、その物語の真実を解き明かしていく周囲の大人たちなのだ。 何故なら、ヒロインは自分が認識する範囲内で事件の事実を知っているが、周囲の大人にはそれを話さない。 ヒロインの社会生活に支障をきたすきっかけになった高校時代の事件を、大人たちがこうじゃないか、ああじゃないか、と気をもみながら掘り下げていく。 本人に断りなく盗聴で。(!)
そう、これは大人が、大人の知らない子供たちの残酷な世界を覗き見る、という、すこぶる家政婦は見た!的なやつ。 家政婦は事件を解決するけど、ここではコミックにするのが目的で、何ならコミックも読みたいくらいだ。

公開2023年
脚本野島伸司