【ネタバレ注意】
投稿日:2023年8月10日
震災後の仮設住宅(風紀乱れがち)に住み続ける住民の悲喜交々。 まず、キャスティングの豪華さに驚く。 主役級、準主役級の俳優ばかりで埋め尽くされた仮設住宅、これは演劇界のお祭りですか。 癖の強い住民たちはそれぞれ悩みを抱えているが、シャレにならないヘビィな状況を軽めに受け流す。 左から来たら右へかわす。
中でもタツヤ(仲野太賀)の悲しみが辛い。
彼の母親しのぶ(坂井真紀)は家出した長男シンゴ(YOUNG DAIS)を異常な程溺愛し、お金を無心するために帰省する長男に全財産を与え続ける。 自分のものだけではなく次男(タツヤ)に新調したスーツも次男の貯金通帳も渡してしまう。
タツヤは大人になった今も必死に母親の愛情を求め続ける。 仮設住宅から新しい家に家族で引越しをするために貯金し、心機一転スーツをもう一度仕立てて、先ず母親に見せるんだ、と嬉しそうにスーツを持って帰る。 帰ると母親は車椅子が必要になった長男と幼い兄弟を連れていなくなっている。 あまりの事に事実を受け入れられず、周囲には家族がいるふりをしてしまう。 子供は、どんな親でも無条件に愛する心を持って生まれてくる。 その愛に応えてもらえない子供の心はいくつになっても母親を求め続けてしまう。
公開 | 2023年 |
原作 | 山本周五郎「季節のない街」 |
監督 | 宮藤官九郎、横浜聡子、渡辺直樹 |
脚本 | 宮藤官九郎 |