テレビ番組のクルーがホテル従業員高橋(角田晃広)が宇宙人である事を嗅ぎ付けるが、高橋の周囲で高橋の正体を知る町の人々はテレビクルーの取材を上手くかわす、左から右へ。その様子が、日本っぽいと思った。
その日本らしさとは、曖昧を許容する文化である。世の中には白黒つかないグレーが多い。何ならグレーの方が多いくらいだ。その許容範囲が日本は広い気がするのだ。(あ、身内びいき?)グレーはグレーなんだね、と、無理に白黒つかないよね、と。神様を本当に信じているのか、あまり深くは考えないけど神社へ行くし、お葬式は仏教だし、クリスマスはめでたい。根底にあるのは(思考のOS)神道(アニミズム)なのかも知れない、森羅万象神様だから人間の頭で理解できなくても仕方ないね、的な。
グレーが象徴的に表れるのが科学的に白黒付いていない超常現象だが、頭から否定したり肯定したりする人より、信じるかどうか曖昧だけどそういう事ってあるっぽいよね、というスタンスの人が多い気がする。このドラマの町の人々もまさにそんな感じで高橋に接する。実は宇宙人です、と言われて本当に信じてるのかいまいちはっきりしないけれどもまぁそういった存在として付き合っていくよね、という。
しかし世の中には白黒つけないと落ち着かない「科学教」も根強く、科学で証明されない=真実ではないという方程式が適用される場面も多い。法律で解決しなければいけないケースも無理矢理にでも線引きが望まれる分野だろう。量子力学などの科学が完全無欠に進歩したら超常現象も科学で説明できるようになるのでは、と私は思う。それまでは、宇宙人とか未来人とか、何かね~あるのかもね~みたいなゆるいスタンスがありがたい。
公開 | 2025年 |
脚本 | バカリズム |
演出 | 水野格、山田信義、松田健斗 |
プロデューサー | 小田玲奈、小田井雄介、野田健太 |