元祖国民的アイコン尊き 「ふしぎな岬の物語」

投稿日 : 2023年2月19日

2014年公開、吉永小百合主演、日本アカデミー賞優秀作品賞受賞作品。

夫を亡くし独り千葉の岬で喫茶店を営む女性が、彼女を囲む町の人々の様々な人生の移ろいを見つめる。 一人一人の幸福を祈り、温かくサポートしながらも、その実彼女の瞳が見つめるただひとつのものは亡き夫の面影。喫茶店を通して人とのつながりを大切にしている女性が、自らの心の中の深淵をのぞき込むと、立っていることができないような孤独感におののく。

全体的には町民が彼女の周囲で喜怒哀楽を繰り広げ、それを優しく見守る悦子(吉永小百合)という図になっていて、心温まるお話のような印象を与えるが、悦子の心象風景を思い描くと茫然自失となる、そんな不思議な後味。

原作の小説を読んでいないのであまり断定的なことは言うべきではないが、この役は吉永小百合が演じることで妙な現実味が加わっているのかも知れない。 町の人達全員が彼女を愛し、見守り、倫理的な指針とさえ言える。 町の中におけるその存在感をそのまま日本の吉永小百合に置き換えても成り立つなぁ、と。 情報過多な昨今ではもはやこういった究極のスターの登場は難しいかも知れぬ。 このような存在をもう1人あげるとしたら……長嶋茂雄さん!

公開2014年
原作森沢明夫『虹の岬の喫茶店』
監督成島出
脚本加藤正人、安倍照雄

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真夜中月子
こんにちはあるいはこんばんは、真夜中月子です。 夜のふくろう型です、朝弱いです。 日々ドラマや映画をきっかけに感じた事、忘備録的に書いております。 どこかに同じ事思った人がいるかも、と思いつつ。