目には目をがちょっと怖い「私の夫と結婚して 日本版」1~7話

【ネタバレ注意】

投稿日:2025年7月19日

人生やり直しストーリーとしては、ブラッシュアップライフが記憶に新しい。
ブラッシュアップライフではやり直しの目的は徳を積んで来世も人間に生まれ変わる事で始まり友人の命を助ける事に変化していくのだが、本作では、自分を利用し最終的には殺された人間に復讐し自分の運命の身代わりになってもらう事。終始お気楽な、いや、牧歌的空気のブラッシュアップライフと比較するとちょっと禍々しい。

その禍々しさを払拭しているのが佐藤健演じる鈴木亘。全てをかけて主人公の美紗(小芝風花)を守ろうとストーカーのごとく美紗の周りをウロチョロするのである。何せ美紗が大学で話しかけていた池の亀を助けて今も飼っているのだ。そんなイケメンおるんか?ここにいた。
オリジナルの韓国版恋人役のユ・ジヒョク(ナ・イヌ)は大企業を継いで華やかな人生をおくるのかな、というところだが、日本版の鈴木亘(佐藤健)は多分大学へ戻って夢だった研究者の道で静かだが満たされた人生を選択するのかな、と思わせるところ、日本のドラマに上手くアダプトしている。

はい、という事で結末が待ち遠し過ぎて韓国版にも手を出してしまってます。
韓国ドラマの例に漏れず、現実離れしたお金持ちぶり、人物の豹変ぶり、ドラマにエクストリームが好まれるお国柄なのかも知れない、日本版よりファンタジー的に感じる。
地味というよりむしろボロボロで本当にパク・ミニョンか?と思うような風貌(眉なし)から2度目の人生では派手ハデファッションで颯爽と出勤(フルメイク+ワンショル)。こっちが本来の好みならばむしろ今までは猫被ってたのか?という疑問は横に置いておく。

そんな小さな違和感よりも考えさせられたのは、前回の人生で自分を殺した相手を、今回の人生でまだ殺されていないうちから積極的に陥れる策略を巡らせるという後ろめたさ。やらなければやられてしまう、という危機感は理解できるが、最終的に復讐をやり遂げてしまうと登場人物は既に全員悪人に見えてしまうのだ。

この辺りのハードルを日本版ではどう越えてゆくのか。策略によって相手を酷い状況に陥れても闇落ち映えしない動機付けを加えるのか、あるいはハンムラビ法典なのか。

因みに「目には目を」の復讐法は、やられたらやり返してよし、というよりは、それよりも酷い復讐をしないために制定されたらしいっす。さらに酷い復讐…思ったより怖い世界観だった。

公開2025年
原作
ソン・ソジャク『私の夫と結婚して』
監督アン・ギルホ
脚本大島里美